消費者金融のおまとめローンを徹底解説
おまとめローンは良いことばかりと宣伝されていますが、使い方によっては逆に損することもあります。特に消費者金融を使うときには注意が必要です。仕組みを理解してうまく使っていきましょう。
そもそも「おまとめローン」とは
借金を1つにまとめるローン商品
複数の業者や銀行から借入があるとき、借入の管理をするのは非常に面倒です。残高スライド方式で返済額が変わるものを併用していると、どの金融機関にどのくらい返済したらいいのか把握するのも大変になります。
カードローンなどの個人向け融資商品も他のローンと同様に、借入金額が高くなるほど金利は下がります。利息制限法では、借入金額ごとに上限金利が段階的に決められています。おまとめローンを使って借入先を一本化することで借入額が上がれば、金利が下がる可能性があります。
また、消費者金融業者は貸金業法の適用を受けるので、原則的に総量規制を守る必要があります。利用者の年収の3分の1を超える額を貸し付けることは違法です。そのため、総量規制いっぱいに借りていると、次の借入審査には通過できません。
ところが、おまとめローンは総量規制の対象外であるため、年収の3分の1を超えて借入することができます。総量規制を超えた額を借りることができ、借入先の一本化による負担の軽減と金利の引き下げの両方を満たすことができるのが「おまとめローン」です。
適用される金利が下がる
おまとめローンを利用する大きなメリットは金利が下がる可能性があるという点です。たとえば消費者金融業者3社から以下のような借入をしているとき、利息制限法で定められている法定上限金利があるため、金利が下がって返済の負担が軽くなります。
表中の毎月の返済額は、消費者金融業者で採用される一般的なものを使っています。
|
金利 |
借入額 |
毎月の返済額 |
1ヶ月の利息 |
---|---|---|---|---|
消費者金融A社 |
18.0% |
50万円 |
1万5,000円 |
7,397円 |
消費者金融B社 |
18.0% |
40万円 |
1万1,000円 |
5,917円 |
消費者金融C社 |
20.0% |
10万円 |
9,000円 |
1,643円 |
合計 |
|
100万円 |
3万5,000円 |
1万4,957円 |
|
金利 |
借入額 |
毎月の返済額 |
1ヶ月の利息 |
---|---|---|---|---|
消費者金融D社 |
15.0% |
100万円 |
2万8,000円 |
1万4,794円 |
消費者金融では100万円未満の借入では金利はおおよそ18%が適用され、10万円未満では20%が適用されることが多いですが、これをまとめて100万円の借入としたとき、利息制限法によって金利は15%に下がるので、1ヶ月の利息も減ります。
総量規制の例外となる貸付
おまとめローンの利用で借り主にメリットとなるのは、これが総量規制の例外となる貸付にあたるため、年収の3分の1以上でも借りることができる点です。
通常の消費者金融業者からの借入は、貸金業法によって借入に制限がかかりますが、おまとめローンでは制限以上に借りることができます。貸金業者には、消費者金融業者のほか信販会社やクレジットカードのキャッシング枠が含まれます。
- 顧客に一方的に有利な借り換え
- 緊急の医療費
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付
おまとめローンは「顧客に一方的に有利となる借り換え」にあたります。この例外が設けられたのは、総量規制めいっぱいにまで借りた個人消費者が、もう借入する先がなくなったときに債務整理以外の手段を採れるようにしたものです。
自己破産や個人再生には社会的な罰則という意味合いが強くありますが、おまとめローンはそれに至る前の救済措置です。
追加借入できない
消費者金融が提供するおまとめローンが、銀行のローンなどと違う大きな点は「追加借入できない」という点です。
銀行でおまとめローンとしても活用できるローンは数多くありますが、商品としては単なるカードローンであって、限度額が高めの設定で資金の使途が「借入金の借り換え」でも良いとされている商品であることがあります。このときには、設定された限度額の範囲内で何度でも借りては返済するということが可能です。
一方、消費者金融のおまとめローンはこういった使い方はできません。消費者金融のおまとめローンは住宅ローンやマイカーローンのように利用は1回限りで、いったん借りたら後は返済するだけのローンです。追加借入はできないというのが大きなポイントです。
たとえばアイフルのユーザーが、他の消費者金融業者からの借入2件と併せてアイフルでおまとめローンを利用したときには、アイフルから追加でお金を借りることはできないようになっています。
また、消費者金融でおまとめローンを利用するときには、他の金融機関からの借入を禁止するというのが規定となっていることもありますし、他社のローン契約を解約した証明書の提出が義務であることもあります。
消費者金融のおまとめローンは、追加で借りるものではなく、返済の負担を減らして生活を再建するためのローンです。
返済総額が増えることがある
複数の業者から借入のある人は、消費者金融のおまとめローンを利用することで毎月の返済の負担を軽減することが可能です。とはいえ、消費者金融のおまとめローンは返済の仕方によっては返済期間が長くなって完済までに支払う総額が増えることがあるので注意が必要です。
たとえば以下のような返済計画のとき、金利は低くなるものの、返済期間が延びて最終的な返済総額が大きくなります。
|
金利 |
借入額 |
毎月の返済額 |
総支払額 |
---|---|---|---|---|
消費者金融A社 |
18.0% |
60万円 |
1万8,000円 |
83万7,998円 |
消費者金融B社 |
18.0% |
30万円 |
1万1,000円 |
38万8,683円 |
消費者金融C社 |
20.0% |
10万円 |
5,000円 |
12万2,646円 |
合計 |
|
100万円 |
3万4,000円 |
113万9,237円 |
|
金利 |
借入額 |
毎月の返済額 |
総支払額 |
---|---|---|---|---|
消費者金融D社 |
15.0% |
100万円 |
2万6,000円 |
137万1,743円 |
この差額は、毎月の負担が減ったことと、返済期間が延びたことによるものです。消費者金融のおまとめローンは、利用する分には非常に便利なものですが、こういった不利益が生じることがあります。
良い活用法は、いったんどこかの消費者金融でまとめておいて、負担を軽減して余裕が生まれたところで、繰り上げ返済したり金利が有利な銀行のローンに乗り換えたりする方法です。
消費者金融のおまとめローンの特徴
おまとめに使えるローンは3種類
おまとめローンといっても、実際に利用できるローンには
- 「おまとめ専用ローン」
- 「フリーローン」
- 「カードローン」
の3種類があります。
【おまとめ専用ローン】
- 金利は15%前後。
- 主に消費者金融が提供している。
- 借入先を1つにまとめるという目的にしか利用できない。
- いったん借入したら後は返済のみ。
- 同じ金利のカードローンよりも審査に通過しやすい。
【フリーローン】
- 金利は15%前後、一部に非常に低い金利のものがある。
- 主に銀行が提供する。
- 旅行や趣味などに活用できるものをおまとめとして使う。
- 一部にはおまとめに使えないものがある。
- 金利が低いものは審査に通過しやすいが、高いものはハードルが高い。
- 手数料がかかることがある。
【カードローン】
- 金利は10%程度から18%くらいまで幅広くある。
- 銀行、信販会社、消費者金融などが提供している。
- 限度額の範囲で何度でも追加で借りることができる。
- 返済能力があって高額の融資を受けられる人にとっては、おまとめ専用ローンよりも低金利になることがある。
カードローンだと「また借りて」しまう
カードローンをおまとめローンとして活用することも可能です。人によっては、たとえば返済能力が高いときや個人属性が強いときなどには、おまとめローンよりも低い金利で借入できる可能性もあります。
ただし、これは普通のカードローンからお金を借りてそれを他の借入先に返済するに過ぎません。そのため、1つにまとめた後は、限度額の範囲で何度でも借りることができます。
人によっては高い限度枠をもらえることがありますが、これは根本的な解決にはなっていません。借金する癖がついている人にとっては、借入額が増えていくだけということにもなりかねません。
おまとめ専用ローンは借金のおまとめ以外の利用はできません。つまり追加で借入することはできません。これはデメリットでもありますが、「これ以上借金をしたくない」という場合にはメリットにもなります。
借入先を1つにして借金生活から脱したいというときには、断然、消費者金融の提供するおまとめ専用のローンのほうが良いでしょう。
おまとめの専用ローンのほうが審査に通りやすい
おまとめ専用ローンの良いところは、借入額が返済能力を超えていて困っている人向けのローンであることがはっきりしている点です。同じ金融機関でも、通常のローンとおまとめ専用ローンでは審査の基準がまったく違います。
カードローンとおまとめ専用ローンを同じ金額で申し込むという「やってみた」の報告が多数ネットにも寄せられていますが、同じ希望額でも、おまとめローンのほうが審査に通りやすいと報告されています。金融機関のほうでも、「明確に審査基準を変えています」と回答しているところがあります。
おまとめローンはいったん借りたら返済だけを実行するローンです。金融機関としても、何度も貸付するカードローンよりもリスクは少ないはずです。
そのため、「とにかく今の借入をまとめたい」「審査に通ることを重視したい」というときには、消費者金融のおまとめ専用ローンを選ぶほうが選択しては正しいでしょう。
消費者金融のおまとめローンを紹介
アイフル、アコム、プロミスの大手消費者金融3社とも、貸金業法に基づいたおまとめ専用のローンの取り扱いがあります。貸金業法に定められた「顧客に一方的有利な借り換え」にあたるローンなので、年収の3分の1以上の借入が可能です。
金利 |
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---|---|
限度額 |
500万円 |
審査 |
最短即日 |
融資まで |
最短即日 |
その他 |
即日融資は店舗に行ける場合のみ |
アイフルのローンをすでに利用している会員は「おまとめMAX」と使うことができ、アイフルを利用するのが初めてという人は「かりかえMAX」のほうを選択します。銀行のカードローンやショッピング枠のリボ払いなどの借り換えにも対応しています。
金利 |
7.7%~18.0% |
---|---|
限度額 |
300万円 |
審査 |
最短即日 |
融資まで |
最短即日 |
その他 |
返済回数が13年6ヶ月と長い |
アコムの借換え専用ローンは、消費者金融とクレジット会社のキャッシング枠の借入のみに対応しており、銀行のカードローンなどの借入をまとめることはできません。
返済回数が長いのが特徴で、その分支払う利息は大きくなりますが1回の返済額が少なくなるため、返済の負担が減ります。
金利 |
6.3%~17.8% |
---|---|
限度額 |
300万円 |
審査 |
最短即日 |
融資まで |
最短即日 |
その他 |
返済回数は最長で10年(120回) |
プロミスのおまとめローンも、アコムと同様に「消費者金融とクレジット会社のキャッシング枠」の借入にのみ対応です。
3社とも、これまでのキャッシング利用で問題がなければ柔軟な対応で審査してくれます。元から利用しているユーザーに優しい傾向はどの金融機関でも似たようなものなので、まずは現在利用している業者から検討してみましょう。
アコムのメリットは、全国に数多くの無人契約機を設置しており、おまとめローンもそこで迅速に手続きできる点です。現在の借入に切迫している状態で明日にでもすぐまとめたいということもあるでしょう。そうしたときに、無人契約機からさっと契約できるのはメリットです。
また、アコムは契約時に金利を低く設定してもらいやすいことも報告されており、交渉してみる価値があります。借入先の返済はアコムが代わりに実行してくれるので、契約さえできれば後は心配がいりません。
アコムのおまとめローンは、ネットでは契約できません。自動契約機か窓口、もしくは郵送での手続きになります。そのため、時間の都合がつかないときにはあまり向いていません。
また、返済額を減らせても金利があまり変わらない契約にしてしまうと返済期間が長くなって返済総額がまとめる前よりも増えてしまう可能性があります。
アイフルのおまとめローンのメリットは、銀行のカードローンやクレジットカードのショッピング枠のリボ払いにも対応している点です。他業者のおまとめローンでは、こういった債務を対象外としていることが多く、消費者金融ではほとんどプロミスだけと言っていいほどにメリットです。
これだけでも、プロミスのおまとめローンを選ぶ価値はあるでしょう。また、一般的にはおまとめローンであっても年齢に上限を設けていることが多くありますが、アイフルでは年齢の上限は設けられていません。
条件によっては審査で不利になることは充分に考えられますが、少なくとも公式に年齢の上限を設定していないのは、審査にかなりの柔軟性があることが期待できます。
アイフルのおまとめローンは、「おまとめローンに良くある」という程度のデメリットしかありません。たとえば返済専用であるために追加の借入ができないといったことです。
また、金利が借り換え前とあまり変わらないときに毎月の返済額が少なくっているケースでは、返済期間が延びて総返済額が多くなりますが、これもおまとめローンに付き物です。大きな欠点のないおまとめローンと言えます。
プロミスのおまとめローンのメリットは審査が早いという点です。おまとめローンの審査には消費者金融といえども時間がかかることが多いですが、プロミスは最短即日審査、即日融資が可能です。
通常のキャッシングとは審査の基準が明確に違っていて、ハードルは低いと言われています。融資ではプロミスから他社の借入先に申込者の名義で即日振り込まれます。いますぐに返済しないと間に合わないという場合にはプロミスのおまとめローンは適切な選択と言えます。
ただ、即日で融資を受けるには銀行の振込のタイムリミットを考えて午後2時までには契約を完了させるようにしましょう。
プロミスのおまとめローンのデメリットは、他社に比較して多少金利が高めという点です。同じ限度額300万円の他社と比較したとき、「最低金利」が高めになっており、実際に適用される金利も高くなることが推測できます。
100万円以上の借入をする際に、利息制限法によって上限金利は15%までになる可能性が高いでしょう。
中小の消費者金融のおまとめローンは?
メリット
1.審査が緩め
カードローンの場合と同様、中小の消費者金融業者のほうが大手よりも審査が若干緩めです。その人の事情に合わせて融通を効かせてくれるのが中小のメリットですが、これはおまとめローンの審査にも当てはまります。
おまとめローンを検討しているということは、すでに返済に困っていて何回か遅延してしまっていることもあるでしょう。
そうしたとき、自分が利用している業者の審査に不利に働くのではないかと心配になりますが、中小の業者は他社での借入状況に多少の問題がある人にでも審査に通過させる傾向があるので、もし大手の審査で心配というときには、おまとめローンの取り扱いのある中小の業者に申し込むのは良い方法です。
2.信用情報に問題ありでも可
中小の業者は、全体的に信用情報に問題にある人にも貸す傾向があります。これはおまとめローンでも同様で、程度の問題はありますが、ちょっとした金融事故なら中小の審査は通ります。
中小の業者は、大手では相手にされない人を顧客とすることで生き残ってきたところが多く、借入件数が多かったり、返済に多少遅れたりしたくらいなら審査をしてくれます。
デメリット
1.限度額が小さい
これもカードローンと共通するデメリットですが、中小の業者のおまとめローンは限度額があまり大きくありません。おまとめローンは複数の借入の一本化ですので、借入している合計金額以上の限度額でなければ意味がありません。
人によっては中小の業者のおまとめローンは利用しても返済の負担が減らないというケースもあるでしょう。中小の業者の使い方としては、たとえば3件あるうちの2件だけまとめておいて、負担を軽減したうえで返済を実行して債務額を減らしてから大手などに申し込むという方法です。
2.審査に時間がかかる
中小の業者でおまとめローンを組むときに気をつけたいのが、審査の時間です。中小の業者でも通常のカードローンなら即日融資なのに、おまとめローンとなると時間がかかることが多くあります。中小の業者は個人属性が弱い人やブラックリストに載っているような人でも融資を行ってくれる可能性がありますが、その分審査は慎重になります。
また、来店しないとおまとめローンの契約ができないという業者は中小では多いので注意しましょう。自宅から遠い業者にネットで申し込んで、いざ契約の段階になって遠出をしなければならないという事態もありえます。
まとめ
消費者金融業者のおまとめローンにはメリットもあればデメリットもあります。大手の業者でも若干の違いがありますので、良く検討してから申し込みましょう。